ディスクリートヘッドホンアンプキット検討中

検討中といいながら試作基板の動作確認フェーズまで来ています。構成は差動回路で受けて一段増幅を経た後プッシュプル出力の一般的な回路構成です。

  • Strawberry Linux の LT3471 ±12V DC/DC ユニットを使用し電源供給
  • 終段は BD139/BD140 それ以外は BC550C/BC560C のトランジスタを使用。1N4148 のダイオード含めてフェアチャイルドで統一
  • BC550C/BC560C は 2SC1815/2SA1015 の置き換えを目的で選定。ローノイズと BL ランクに相当する hfe がその理由

使用予定のトランジスタの Spice モデルをググって公開されていたモデルをダウンロード。このモデルを使用して周波数特性のチェックを実施。十分ハイレゾ対応です。これに落ち着くまではシミュレーション上1MHz 以上のところで発振していたりしてましたので、定数をいじりつつここまで持ってきた感じです。

回路を KiCad で引いてプリント基板の製造依頼を経てやってきた基板を組み立てた試作版が一番上の写真でございます。こちらは Analog Discovery で簡易な f特測定を実施。LTSpice のシミュレーションと一緒と。Spice モデルがしっかりしたやつだったのでしょうか、一発できまって嬉しいかぎりです。

心配だったのはトランジスタの選別はしない予定なので、オフセット調整ができるか?と発信しないか?です。両方ともクリアできたので基板の修正をして頒布したいと思います。基板の幅が 72mm なのでタカチの MXA2-8-12 / MX2-8-13 あたりのケースが標準になる予定です。

Nutube に定格 80V かけてみた(1)

Nutube のデータシートを見ますと、アノード電圧の定格は 80V とあります。特性図はもっと高い電圧も測定されていますので、もっと高い電圧をかけてもこわれることはないと思いますが、一歩間違えると蛍光体を焼いてしまいそうなので実験は 80V までとします。ついでなので差動回路できるかなとの単純な理由で↑のような回路をブレッドボードに組んでみました。

Nutube の下にくっついている定電流回路はトランジスタ2個使ったよく見かける回路です。Nutube 特性グラフからアノード電圧 80V の時 20μA が定格いっぱいの目安。定電流回路は Nutube 2ユニット分なので 40μA 流します。トランジスタの VBE = 0.6V 程度として 0.6V / 40μA = 15k を定電流回路の電流制限抵抗にしました。

アノード抵抗は適当に 180k です。ヒーターはeneloop で供給という形で実験開始

Anode電圧
(V)
負荷抵抗1
電圧(V)
負荷抵抗1
電流(μA)
負荷抵抗2
電圧(V)
負荷抵抗2
電流(μA)
電流の合計
電流(μA)
グリッドバイアス
電圧(V)
30
35
40 0.85 4.7 1.51 8.4 13.1 -0.65
45 1.80 10.0 2.73 15.2 25.2 -0.65
50 2.94 16.3 4.04 22.4 38.8 -0.69
55 3.27 18.2 4.57 25.4 43.6 -0.92
60 3.21 17.8 4.64 25.8 43.6 -1.28
65 3.215 17.9 4.71 26.2 44.0 -1.63
70 3.155 17.5 4.78 26.6 44.1 -1.97
75 3.093 17.2 4.84 26.9 44.1 -2.31
80 3.031 16.8 4.91 27.3 44.1 -2.65

アノード電圧を上げていったところ 65V ~ 70V あたりがグリッドバイアス -1.63~-1.97V とほどよいバイアス電圧になりました。定電流回路も十分動く電圧です。ただ、ユニットのばらつきがあるので、電流値は差があります。(マイクロアンペアですし…)また、電流の合計が 44 μA になりました。15k * 44μA = 0.66V と出ました。VBE の想定がちょっと低かったようです。

この実験で Nutube の真空管動作もいけることがわかりました。あとは、負荷抵抗をカレントミラーにしてどれくらい増幅するかやってみる感じですかね。

汎用オペアンプ基板つないでどんな感じか試聴しますも、ブレッドボードなのでハムが煩い状態。「とりあえず普通に動いている」の確認にとどまりました。

ポタ研2017冬行ってまいりました

2017/2/18 中野のサンプラザ15階にて、FUJIYA AVIC 様主催の「ポタ研2017冬」が開催されました。ここに出展される SoundPotion さんから、机の半分は「Nutube ポタアンを展示」というお達しが発せられまして、無条件参加となった次第。ついでなので現地にいくことにしたのが1月上旬ごろの話
その後 KORG さんが協賛についてくれるという話も出てまいりまして、盛りあがり度もアップという状況で当日10種類程出品がありました。

KORG さんが持ってきておられた、試作アンプもあり試聴させていただきました。どうやったら、こんなにハリのある音になるのか悔しいくらい良い出音なのですが、現状発売の予定はない状況。

KORG さんからマイクロフォニックノイズ対策の参考にということで見せてもらったのが上の写真二つ。一つ目はオモリを付けて振動を吸収する形のもの。もう一つは樹脂ケースにスポンジクッションのようなものをかませてNutube を固定。そのケースも柔らかいもので固定のダブルクッション?みたいな固定方式。ケーブル出してコネクタで基板と接続します。

出品されたポタアンの一番人気は、ポタ研直前に完成された Nutube を 80V 定格ギリギリでドライブするアルトイズサイズのアンプでした。これはいいですね。一歩間違えると蛍光体やってしまうギリギリのところで出る音は初めて聞きました。
今回出品された中で電圧の分類でいくと 80V ドライブが1人、24V ドライブが1人、ラズパイの方は電圧聞くの忘れた。完成品売ってる方のも中聞くの忘れてた、残りは電池でドライブでしたかね。
皆さん工夫を重ねられた素晴らしいアンプを出品されていて、勉強になりました。

ポタ研終了時間で集合写真撮影。こんだけ集まるとすごいです。

今回、ポタアンを展示させいただく機会を与えていただいた SoundPotion 様に感謝します。

Nutube ヘッドホンアンプキットによさそうな角形電池探し

Nutube を使ったキットを頒布させてもらっています。このアンプは 9V の角形電池を電源として使用しています。角形電池にはいくつか種類がありまして、大抵のところで買えるアルカリ乾電池、ちょっと大きめの家電店で買えるニッケル水素電池、海外の輸入品を扱っているところで買えるリチウムポリマーがあります。これらの電池を放電させたらどんなものか調べてみました。テストは下記電池で実施しました。条件は Nutube キットの電流(約40mA) を流したときの傾向です。オペアンプ交換や、新しい電池や古い電池でも変化しますので、こんな感じということで見て下さい。

  • パナソニック:エボルタ乾電池
  • パナソニック:アルカリ乾電池(金パナ)
  • 東芝:IMPULSE (8.4V / 200mA)
  • MAHA:POWEREX 9.6V / 230mA
  • MAHA:POWEREX 8.4V / 300mA

エボルタと金パナは、時間経過と共に電圧も下がっていく傾向。金パナは 7.4V ~ 6.6V の電圧で安定しているようです。おもしろいのはエボルタですが 7.8V あたりと 6.4V 付近の電圧でそれぞれ 70分以上持ちこたえたところです。

ニッケル水素電池は、東芝 IMPULSE 8.4V / 200mA と MAHA 9.6V / 230mA がそっくりなグラフですね。1.2V セルの個数が違うだけなので当然な結果と。MAHA 8.4V / 300mA は、IMPULSE のグラフが伸びた形のグラフを期待していたのですが、買った電池がダメだったせいか途中で急激に電圧下がってしまいました(復活の儀式をやってこの状態なのでダメっぽいです)

放電中の電圧安定度からいいますとニッケル水素充電池に分がありそうな結果となりました。入手しやすさは東芝 IMPULSE ですが、MAHA 9.6V は電圧があがるので、その分出音も迫力あるものとなります。

リチウムポリマーの角形電池は入手できたら測ってみたいと思います。

THA-08X ヘッドホンアンプを作成しました

Twitter を見ていましたら、A47 式ヘッドホンアンプ基板を設計されていた方がおられまして、基板できたのでスイッチサイエンスさんで頒布するとのこと。リンクは THA-08X A47式全段シングルオペアンプ使用 ポータブルヘッドホンアンプ(基板のみ) になります。
電源は単三電池2本ですが、DC/DC で昇圧して ±12V でオペアンプを駆動。オペアンプは増幅と電流ブースト共にシングルタイプのオペアンプを使用とのこと。うちとこのオープンエアなヘッドホンもこれやったら鳴るんじゃない?と思い基板をポチっとなした次第です。

THA-08X の説明書にあるパーツリストから違うのは以下2点
・オペアンプ周辺の抵抗は音響用抵抗が推奨になっていましたが手持ちなどの関係で一般的な金属皮膜抵抗を使用
・電源ランプにブラケット LED とありましたが、手持ちの LED で代用
くらいですかね。

では、早速作ってみます。最初にやったのはケースの穴あけ準備です。

ドローソフトで、タカチのプラケースの寸法を確認して、ボリューム・3.5mmジャックの配置を検討。位置が決まったところで穴あけしました。

穴明けが済んだら、念の為基板と干渉しないことを確認。ギリギリ決まった感じ。

LED は接着剤で固定するため一番先に取り付け。固まるのを待つ間に基板のはんだ付けなど出来る作業を進めていきます。

説明書にも書いてありますが、チップオペアンプを最初にはんだ付けします。マスキングテープを細く切って部品を固定すればはんだ付けしやすいと思います。あとは、背の低いパーツからつけていく感じで問題ありませんでした。

はんだ付け終わった基板をケースに取り付け。ボリュームやジャックはあらかじめ線材をはんだ付けしておいたものをパネルに取り付けました。後は、この線を基板と接続するだけです。

どうにか配線も済んだ状態。電源チェックを行ってオペアンプの電源ピンに電圧かかっていることを確認。

ひとまず、オペアンプをさして通電確認。発熱など異常はなかったので OK。ヘッドホンをつないで音出し

エージングなど済んでいませんが電流ブーストあるからでしょうか、作った直後でも鳴りっぷりはいいです。OPA134 を買いましたが、別のオペアンプでも試してみたくなります。

アマゾンで買った LED ネームタグ (Archeer LED ネームプレート)

アマゾンで見かけた 1480円の LED ネームタグをポチりました。

ちょっと動かしてみて気になるのは輝度ムラですかね。明るく点灯するドットとちょっと暗めのドットがあります。ダイナミック点灯の仕方がイマイチなのか近くで見るとよくわかります。普通に使う分には問題ないかなと思います。あと明るさ調整もボタン長押しでできるのですが、100% -> 60% -> 20% の 3段階です。明るさの調整は可能ですが、輝度ムラが目立ってくるので 100% でつかうのが一番いいかもという状況。ただ 100% だと近づくと明るいので、LED パネルにスモークなアクリルを貼ったほうが見やすくなると思いました。

使い方は、LED ネームタグを USB ケーブルで PC に差しますと USB ストレージが現れます。ここに、 LED ネームタグ表示ソフトのインストーラーが入っているので、ダブルクリックしてインストールするだけです。ソフトを起動して、表示したいテキストを打ち込んで LED ネームタグに書き込めば完了です。LED ネームタグの電源 ON で自動で表示されます。

Twitter に投稿した動作しているときの模様リンクを↓に貼っておきます。

Nutube ヘッドホンアンプキットのホワイトノイズ対策

現在配布中のキットについて、ホワイトノイズ対策を入れる場所が確定しました。結果からいいますと下記2点になります

  • Nutube にヒーターに 47μF のコンデンサを入れる
  • Nutube のグリッドバイアス調整用の半固定抵抗に 4.7μF のコンデンサを入れる

ヒーターに入れる 47μF コンデンサは、下の写真のように、150Ω 抵抗にコンデンサを斜め45度でつけます。

半固定抵抗に入れる 4.7μF コンデンサは、半固定抵抗のピン間ではんだ付けします。∴ の右側にコンデンサです。

お買い上げいただいたユーザー様にはこのチップ部品をお送りしたいと思います。

Nutube ヘッドホンアンプキットのホワイトノイズ対策

Nutube ヘッドホンアンプキットで効率の良いイヤホンやヘッドホンでよく聞こえるホワイトノイズの切り分け

最初は、Nutube のバイアスを 3.3V LDO 出力からとるのを止めて、006P 電池の 9V からとるように変更。抵抗分割でやってもよかったのですが、別のキットに書いてあった LED でバイアスとる方法をやってみました。
結果ホワイトノイズは正直変わりませんでした。ですが、このテスト結果からグリッドバイアスを別系統からとってもしつこくノイズがでるので、残るはヒーターからの雑音が疑わしいところです。

手持ちの 47μF 電解コンデンサを Nutube のヒーター端子と GND にそれぞれつないでみました。この結果ホワイトノイズは大幅に減少しました。Lch, Rch それぞれの 3.3V LDO の出力には 2.2μF + 10μF の平滑を入れていて、ここからバイアスの10k 半固定抵抗と150Ωの抵抗経由 Nutube のヒーターに行ってるですが、結果的にノイズが取り切れていない状況。

チップコンデンサであれば基板の R5 と C6 の間と、R6 と C5 の間に付けるのが特別な加工が不要で一番早い付け方と思います。リードタイプも同じ場所にはんだ付けするのがいいかと思いますが、直接 Nutube のヒーター端子のピンとGND ピンとコンデンサでつけてしまうのもありかと思います。

グリッドバイアス回路を元の状態に戻して、問題ないか引き続き確認します。また部品の付け方については、改めて写真撮影を予定します

Nutube ヘッドホンアンプキットのソースフォロワ基板を頒布します。

現在頒布中の Nutube ヘッドホンアンプキットの入力ボリュームと Nutube のグリッド間はコンデンサカットで接続されていますが、この部分を FET のソースフォロワ回路におきかえるものです。ボリューム位置で変化するホワイトノイズを軽減するための回路です。

表面は、表面実装部品で構成されています。手はんだしやすいよう、部品の間隔を広めにしています。

裏面は、コンデンサが付きます。

ヘッドホンアンプ側のコンデンサを外して、この基板をスズメッキ線と接続します。


頒布は、https://www.em9system.com/ の頒布サイトで行っています。

Nutube ヘッドホンアンプ用にアドオン基板を作ろうと考え中

頒布開始した Nutube ヘッドホンアンプキットも20セット近く出てうれしい状況であります。ただ、ホワイトノイズが結構でるので、いつまでも未対策はだめかと考え今の基板にインピーダンス変換のバッファ基板を付けられるか設計開始しました。

緑のカップリングコンデンサを外して、ボリュームの上にアドオン基板を貼り付けてそれぞれの端子を接続する方法でなんとかなるか検討。

ひとまず部品をおおまかに配置して収まりそうか確認。大丈夫な感じなので基板をおこしてみます。これでノイズ対策の効果がでるかどうか試してみたいと思います。