MCS-52 Basic 基板作成

ヤフオクを見ていましたら、BASIC-52 の基板を見つけたので購入。基板に書かれたアドレスから https://www.billy.gr/mcs-basic-52/ で公開されているガーバーファイルのようです。以前作成した BASIC-52 基板は EEPROM 領域がないため、プログラムの保存が出来なかったのですが、こちらの基板は EEPROM のソケットが付いています。

この基板を作成された方は EEPROM の代わりに DALLAS DS1230AB-70 という バッテリーバックアップ付き 32KB SRAM (NVRAM) を載せておられました。不揮発性メモリなので機能は果たしますが、Mouser 価格 4000円程度とお高い状況。また、EEPROM は HC138 のアドレスデコードで 8KB バウンダリになっているので、8KB 分しかつかいません。NVRAM はもったいないので AT28C64B など8KBx8bit の汎用EEPROMを使用することにしました。

WEBサイトを見ると基板のエラー情報が書かれています。

DC ジャックの GND 未配線は、DCジャックの端子を抵抗の切れ端で接続して、電源が入るようになりました。また、リセット回路からの信号は CPU のリセット端子まで来ていましたが、74HC32 のリセット信号が配線されるべき端子には来ていなかったためジャンパー飛ばして結線。私の所ではこの2か所手当することで動作しました。

*MCS-BASIC-52 V1.31*
READY

>erase       

READY
>
>10     REM Basic ROM directory
>20    ADR=8010H : PN=1
>30     IF XBY(ADR)<>55H THEN  END
>40    ADR=ADR+1 : BA=ADR
>50     IF XBY(ADR)=1 THEN  GOTO 80
>60    ADR=ADR+XBY(ADR): GOTO 50
>80     GOSUB 100: PRINT : PN=PN+1 : ADR=ADR+1:   GOTO 30
>100    PRINT "PRG",PN,"from ", :  PH1. BA, :  PRINT " to ", :  PH1. ADR,
>110    PRINT " (",ADR-BA,"bytes)",
>120   NB=XBY(BA)-2: IF NB<4 THEN RETURN
>130 IF XBY(BA+3)<>96H THEN  RETURN
>140    FOR XX=BA+4 TO BA+NB:PRINT CHR(XBY(XX)),: NEXT : RETURN
>prog
 1

READY

erase 命令で EEPROM 領域を初期化します。3分くらいかかるので気長に待ちます。その後プログラムを入れて、prog 命令を実行すると EEPROM にプログラムが保存されます。↑のプログラムは、EEPEOM にどんなプログラムが格納されているか表示するプログラムで、http://www.nomad.ee/micros/8052bas.shtml で公開されているものです。

>rrom

PRG 1 from  8011H to  8134H ( 291 bytes) Basic ROM directory

READY
>

rrom 命令を実行すると、EEPROM の1番目のプログラムを実行します。先ほど書き込んだ EEPROM に何が入っているかを表示するプログラムです。

>ram

READY
>new

>1 REM ASCII ART
>10 FOR Y=-12 TO 12
>20 FOR X=-39 TO 39
>30 CA=X*0.0458
>40 CB=Y*0.08333
>50 A=CA
>60 B=CB
>70 I=0
>80 T=A*A-B*B+CA
>90 B=2*A*B+CB
>100 A=T
>110 IF (A*A+B*B)>4 THEN GOTO 150
>120 I=I+1:IF I<=15 THEN GOTO 80
>130 PRINT " ",
>140 GOTO 170
>150 IF I>9 THEN I=I+7
>160 PRINT CHR(48+I),
>170 NEXT X
>180 PRINT
>190 NEXT Y
>
>prog
 2

READY
>rrom

PRG 1 from  8011H to  8134H ( 291 bytes) Basic ROM directory
PRG 2 from  8136H to  8417H ( 232 bytes) ASCII ART

READY
>rrom2

新しいプログラムを追加します。prog を実行すると EEPROM の2番目に格納されます。rrom2 と引数2で2番目を実行できます。

マニュアルを見ると、電源投入時に自動起動するプログラムの設定などもあるようです。また GPIO ピンもCPUについているので簡単に使えますし、このマイコンボードの右端にはメモリマップドI/Oの端子も出ています。プログラムのセーブが出来るマイコンボードは当時としては優れた機能だったかと思います。普通はROM差し替えですしね。まぁBASIC言語なので実行速度はお察しというところで。

MCS8051 BASIC-52 基板を買って組んでみました

電脳伝説さん https://vintagechips.wordpress.com/ の記事に、8752同等品でBASIC-52が動いた というのがありました。面白そうだったので、組んでみることに、基板はオレンジピコショップ https://store.shopping.yahoo.co.jp/orangepicoshop/ さんにて基板とCPUなどを購入しました。

今回組み立てた BASIC-52 基板は 8052 (Flashメモリ 8k) で動作します。↑の写真にあるようなCPU+メモリだけの最小構成のものです。今回購入した CPU は STC89C52RC(90C) というもので中華製互換チップです。これは、stc-isp-v6.xx.exe の書き込みソフトを使用して USB シリアルから Flash 書き込みをするタイプの CPU です。

http://www.stcmcudata.com/ というところが、製造メーカーの Web サイトです。このサイト右側に資料の pdf ファイルや STC-ISP ソフトウエアのダウンロードリンクがあります。書き込みソフトウエアについては、indows Defender が 「Trojan:Win32/Wacatac.B!ml」 を検出してすることがあるので、ダウンロードした .zip をウイルススキャンしてから unzip してください。 Wunzip したらドライバーなどのフォルダがありますが、何もインストールする必要はありません。stc-isp の exe ファイルをダブルクリックして起動するだけです。

書き込みソフトは電脳伝説さんの資料にあった、
http://www.stcmcudata.com/STCISP/stc-isp-15xx-v6.88G.zip
や、その後のリリース
http://www.stcmcudata.com/STCISP/stc-isp-15xx-v6.89G.zip
http://www.stcmcudata.com/STCISP/stc-isp-15xx-v6.89G-tiny.zip
は Windows Defender にひっかかりません。

なお、BASIC-52 については、1.3 というのが最新版です。ソースはググると出てきますが、A Tiny 80(C)32 BASIC Board https://www.dos4ever.com/8031board/8031board.html に、ソースファイルと HEX がおいてあります。ダウンロードした HEX ファイルを ST89C52RC や AT89S52 などに書き込めば BASIC-52 が起動します。もしアセンブラでアセンブルしてみたい時は、ASEM-51 http://plit.de/asem-51/final13.htm というから v1.3 をダウンロードしてください。asem5113 を展開したフォルダでコマンドプロンプトを起動し、アセンブルしたら hex ファイルを作成することができます。

HEXファイルの書き込み(STC89C52RC)

ST89C52RC の場合は、STC-ISP を使用して、USBシリアル経由でフラッシュメモリの書き込みを行います。

  • ボードの電源を切る
  • stc-isp を起動する
  • MCU TYPE : STC89C52RC/LE52RC を選択する
  • シリアルポートを選択する
  • ファイル→Open Code File からダウンロードした HEX ファイルを開く
  • H/W Option のチェックボックスを確認する。Enable 6T にチェックを付けると倍速モードになります。
  • Download/Program ボタンをクリックする
  • ボードの電源を入れる
  • フラッシュメモリへの書き込みが行われる

HEXファイルの書き込み(AT89S52)

AT89S52 に書き込む場合は USBASP アダプタのファームウエアを書き換えて avrdude コマンドでフラッシュメモリの書き込みを行います。(TL866 II Plus などのパラレルライターを持っていればそれでも可能)

USBASP という AVR マイコンの書き込みアダプタがあります。これはアマゾンとかで検索すれば2個セットなどがたくさん出ています。AVR マイコンの書き込み機を持っておられない方は、2個セットがおすすめです。USBASP 用 AT89 対応ファームウエアは https://www.avrfreaks.net/comment/2109556#comment-2109556 に usbasp_AT89.zip として掲載されています。これをダウンロードして展開。main.hex というファイルがあるので、これを USBASP に書き込みします。USBASP は ATmega8(A) なので手持ちの AVR 書き込み機や、2個セット USBASP のうち1個使って、 AT89 用 hex を書き込みを行います。

  • 2個ある USBASP のうち1個の JP2 ジャンパをショーして、ファーム更新できるようにする
  • もう1個の USBASP とケーブルで接続し、USBポートに接続。avrdude コマンドでファームウエア更新をする
avrdude -c usbasp -p m8 -U flash:w:main.hex:i
  • ファームウエアを書き終わった USBASP の JP2 ジャンパを外す。(AT89対応 USBASP完成)
  • AT89 対応 USBASP を BASIC-52 ボードと接続する

結線は、MOSI/MISO/SCK/RESET と電源ピンです。USBシリアルから電源供給している場合は、USBASP から電源供給しないよう注意してください。avrdude コマンドでの書き込み例は以下のようになります。

$ avrdude -C avrdude.AT89 -p s52 -c usbasp -P usb -Uflash:w:version_1p3_hex.HEX:i -v

avrdude.exe: Version 7.0-20220610 (cb11423)
             Copyright (c) Brian Dean, http://www.bdmicro.com/
             Copyright (c) Joerg Wunsch

             System wide configuration file is "avrdude.AT89"

             Using Port                    : usb
             Using Programmer              : usbasp
             AVR Part                      : AT89S52
             Chip Erase delay              : 500000 us
             RESET disposition             : dedicated
             RETRY pulse                   : RESET
             Serial program mode           : yes
             Parallel program mode         : yes
             Timeout                       : 200
             StabDelay                     : 100
             CmdexeDelay                   : 25
             SyncLoops                     : 32
             PollIndex                     : 4
             PollValue                     : 0x69
             Memory Detail                 :

                                               Block Poll               Page                       Polled
               Memory Type Alias    Mode Delay Size  Indx Paged  Size   Size #Pages MinW  MaxW   ReadBack
               ----------- -------- ---- ----- ----- ---- ------ ------ ---- ------ ----- ----- ---------
               flash                  33    12     0    0 no       8192  256     32   400   900 0x00 0x00
               signature               0     0     0    0 no          3    1      0     0     0 0x00 0x00
               atmelsig                0     0     0    0 no         32    1      0     0     0 0x00 0x00
               lock                    0     0     0    0 no          1    1      0     0     0 0x00 0x00

             Programmer Type : usbasp
             Description     : USBasp, http://www.fischl.de/usbasp/

avrdude.exe: auto set sck period (because given equals null)
avrdude.exe: AVR device initialized and ready to accept instructions

Reading | ################################################## | 100% 0.00s

avrdude.exe: Device signature = 0x1e5206 (probably s52)
avrdude.exe: NOTE: "flash" memory has been specified, an erase cycle will be performed
             To disable this feature, specify the -D option.
avrdude.exe: erasing chip
avrdude.exe: auto set sck period (because given equals null)
avrdude.exe: reading input file "version_1p3_hex.HEX"
avrdude.exe: writing flash (8192 bytes):

Writing | ################################################## | 100% 6.16s

avrdude.exe: 8192 bytes of flash written
avrdude.exe: verifying flash memory against version_1p3_hex.HEX:

Reading | ################################################## | 100% 1.60s

avrdude.exe: 8192 bytes of flash verified

avrdude.exe done.  Thank you.


BASIC-52 とは関係ないですが、C言語でプログラムをする場合は sdcc や、Keil μVision5 の C51 コンパイラが使用可能です。

BASIC-52 は EPROM/EEPROM 書き込み命令も持っていたりするのでおもしろいと思いますが、この機能は今回作成した基板では試せません。

興味を持たれたら BASIC-52 で検索してみると検索結果が多く出ます。それだけトライされている方が多いということかと思います。