3C30 シングルアンプ完成

3C30 シングルアンプの作成1という記事で着手しましょうという旨を書いたのですが、それから丸2カ月経過してしまいました。現在の進捗ですが音出し完了しております。以下製作途中の写真などとともにコメントをいれておきたいと思います。

まず、前回の記事で LTSPice を用いた簡易的な直流回路の設計を行いました。あれから何回かやり直した結果、最終組み上げたアンプの回路図は以下の通りです。クリックすると大きく表示されます。

3C30 ロードラインは B電圧 360V 程度、14kΩ 負荷、グリッド電圧16Vあたりでプレート電流 40mA としました。前の記事とは微妙にずれましたがほぼ誤差の範囲なので最大出力 4W 程度という見積に変更はありません。また、6SN7 / 6V6 バイアス電圧見直しの結果6SN7/6V6のB電圧は変更しました。

回路自体はコンデンサカットで段間つないでいるため特筆するところはありません。B 電圧も手元にあった JJ GZ34S を使用した一般的な整流回路となっています。ただ、B電圧調整のため、チョークインプット状態で組み上げ、整流管につなぐキャパシタの容量を徐々に増やして希望の電圧を得るという手法で調整をおこなっています。コンデンサインプットよりかは残留リプルが出やすくなりますので、後ろのリップルフィルタの電解コンデンサは盛っています。

3C30 は直熱ハイミュー三極管ですので直流点火いたします。ヒーターが 5.6V / 2.5A と電流が大きいためブリッジ整流後のキャパシタを増やしても残留リプル除去は厳しい状況。先人のアイデアをお借りし秋月電子から販売されている 「TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット」を用い、これに電流ブーストトランジスタを取り付けることで 5.6V の出力電圧設定とリップルフィルターとしました。電流ブーストのトランジスタは発熱するためシャーシに取り付けて放熱することが必要です。とはいっても、基板のディップスイッチで電圧設定ができるため非常に便利であります。

電源トランス、出力トランスなど部材がそろったので、レイアウト案を検討。何パターンかやってみて気に入った案を決めます。

レイアウトが決まったら、穴あけとスプレーを吹きます。

ヒーター回りを配線し、あとは回路部分を組んでいきます。

一通りの配線を行い、通電してみるところまで。テストを行い問題なさそうなのでシャーシを起こします。

ということで完成。

無帰還の特性です。シミュレーションでは 40dB 程度と踏んでいましたが 右 44dB 左 42dB となりました。このままでもいいですが負帰還かけた状態にします。

負帰還をかけて 34dB のゲインといたしました。

入出力特性は -20dBV(100mV) で 4W ですね。グラフ的には 5W 出ますが横這いになっているのでここら辺が限界ぽいです。もっと直流流せる出力トランスを買えばさらに出力アップは狙えますが財布も情熱も足りないのでここら辺でいいとします。当初決めた動作点で試算した 4W 程度の結果が出ていたので正解です。

まだ短い時間ですが使用してみた感想、音源による得手不得手はないアンプに仕上がったと思います。帰還効いてる加減もあり、パンチあるボーカルとか響く弦とかは言いませんが、十分良く鳴ってくれるいいアンプになりました。

B電源のドロップに使用している抵抗の発熱が大きいのかして、ちょっとニオイがします。これは経過観察して今後の対応を決めたいと思います。

3C30 シングルアンプ作成1

関西ハムシンポジウム2020にキットの他 SONY スカイセンサーのラジオを出展していました。当日は残念ながら売れなかったのですが、後日隣のブースに出展されていた方から連絡があり、やり取りの結果スカイセンサーのラジオとこの真空管が物々交換され我が家へやってきた次第。

やってきたタマはハイトロン3C30というやつで送信管です。ヒーター 5.6V/2.5A な直熱三極管でプラスバイアスで動作させます。

LTSpice のモデルを作成して、超えてはいけないプレート損失を赤線で、10k と 14k の負荷線を 350V/40mA の動作点でプロットしてみました。Ep-Ip のグリッド電圧は -5, 0, 5 のように 5V 間隔でプロットしていますので、プレート電圧 350V/ 40mA のときのグリッドは +15~+20V のあいだ(18Vあたり)になる感じです。

3C30 のドライブには 6V6GT のカソードフォロワでいきます。春日無線変圧器 4B-20MA を使用します。これの抵抗分は965Ωらしいので、20mA いっぱいですが 3C30 のグリッドバイアスがとれます。ここは現物あわせで調整する予定のところです。

前段は 6SN7 2段増幅です。ここは特に特筆するものはないですかね。今時点のざっくり回路は以下のようになります。

1段目の 6SN7 グリッドバイアス 3.5V / 3.3mA 。
2段目 6SN7 グリッドバイアス 6V/2.3mA
3段目 6V6GT 18.5mA でカソードチョーク17~18V。
3C30 のグリッドバイアスは 6V6 のカソード電圧でプレート電圧 350V あたりで動作

となれば、6V6 のカソードチョークがパンクしなければ調整個所少なく組めそうな雰囲気であります。回路図帰還抵抗100k は帰還しないときの確認でわざとおおきくしてあります。実際にはもっと小さいです。

動作点から±15V 振ったとして 740V-60V=680V 電流60mA-12mA=48mA ワット=680*0.048/8=4W が仮決めした動作点の最大出力の目安になります。十分かなと思います。

タマは揃っていますがトランス類がまだです。トランスが届けばバラックで組んでみたいと思います。