2SC1815/2SA1015 ヘッドホンアンプのまとめページ

Blog 内にある2SC1815/2SA1015 ヘッドホンアンプ製作の記事からいくつか抜粋してまとめページとしてみました。

回路図

頒布品のヘッドホンアンプ基板の最小構成の基本回路は下記回路図となっております。

HA2_SAMPLE1

部品表

上記回路図に書いている部品を以下の表にまとめました。国内の有名電子部品ショップで通販可能なものばかりです。

部品番号 数量 型 番 備 考
Q1,Q10 2 2SA1015 GR / Y ランク可
Q2~Q3
Q11~Q12
4 2SC1815 GR / Y ランク可
Q4,Q13 2 2SC1815 GR / Y ランク可。2SC2120なども可
Q7,Q16 2 2SA1015 GR / Y ランク可。2SA950なども可
Q5~Q6
Q8~Q9
  —- 未使用
Q14~Q15
Q17~Q18
  —- 未使用
R1,R21 2 15kΩ
R2,R22 2 10kΩ
R3,R23 2 1.3kΩ
R4,R9
R24.R29
4 1kΩ
R5,R8
R25,R28
4 1.5kΩ
R6,R7
R26,R27
4 360Ω
R12,R13
R32,R33
4 4.7Ω 1Ω~4.7Ω程度で調整
R10,11,14,15
R30,31,34,35
—- 未使用
R16,R36 2 33Ω ヘッドホンにあわせて33Ωや62Ωなど
R17,R18,R19,R20
R37,R38,R39,R40
ハンダブリッジ
R41 1 470Ω
VR1 1 47kΩ 基板から線を出して VR と接続
VR2~5 4 10kΩ 半固定抵抗
C1,C10 2 10μF/16V オーディオ用
C2,C11 2 100μF/25V 一般用、低ESR品だとより良い
C3,C12 2 220μF/16V オーディオ用
C4,C13 2 100μF/16V オーディオ用
C5,C14 2 3.3μF/16V オーディオ用
C6,C15 2 1000μF/16V オーディオ用
C7,C16 2 0.047μF フイルム系など
C8,C17 2 51p  
C9,C18 —- 未使用
C19 1 470μF/25V 一般用、低ESR品だとより良い
C20 1 0.1μF/50V 一般的なセラミックコンデンサ
D1 1 LED
P1,P2 2 ターミナルブロック3端子
P3 1 ターミナルブロック2端子
P4 1 —- LEDの予備穴
ステレオジャック 2 3.5mmや標準ジャックなど パネル取り付け用
ボリューム 1 47kΩ パネル取り付け用
DCジャック 1 2.1mmや極性統一など パネル取り付け用

電解コンデンサは全てオーディオ用のもので製作されたほうが結果良くなると考えられます。抵抗は金属皮膜のほうが良いです。

回路の計算

電源電圧9Vと仮定して設計を初めました。終段から前段に向って計算していきます。

HA2_直流計算

 

終段のエミッタ抵抗

上図右側の4.7Ωですが熱暴走を抑えるための簡易対策のために入れています。

トランジスタの VBE は温度が上がると -2.5mV/℃ の割合で下がっていきます。終段のトランジスタはクロスオーバー歪み対策のためにアイドリング電流を流します。電流が流れると徐々にですがトランジスタの温度は上がっていきます。トランジスタのベースに加わるバイアス電圧はほぼ変らないために、この 2.5mV の差分だけ余計にコレクタ電流が流れるようになり、またそれがトランジスタの温度を上げることとなります。これが繰り返えされるとトランジスタには非常に大きなコレクタ電流が流れるようになり最終的には熱で壊れます。熱暴走という状態です。

熱暴走を防ぐために、エミッタ抵抗を挿入してトランジスタのベースバイアス電圧と VBE の差をキャンセルさせています。終段のトランジスタとバイアス用トランジスタの温度差が40℃あれば 100mV の余計な電圧が終段のベースに加わります。(ベースバイアス電圧 – VBE) / エミッタ抵抗 の式でアイドリング時のコレクタ電流は制限されます。この場合は 21mA のアイドリング電流が最大です。

バイアスを決めるトランジスタと終段のトランジスタの温度差による VBE 変動を抵抗で吸収しているだけなので、終段トランジスタのアイドリング電流の変化を根本対策しようとすれば、終段トランジスタとバイアス用トランジスタの熱結合が必要な対策になります。

今回はヘッドホン対象の小出力アンプを考えていますので、エミッタ抵抗だけの対策とします。

終段はエミッタフォロワに抵抗が2つあります。4.7Ωを並列にした合成抵抗値2.3Ω。負荷になる30数Ωのヘッドホンの 1/10 以下なので十分電力は伝えられます。

出力のカットオフ周波数

サンプルの回路では 1000μF のコンデンサを入れていますが、出力のカットオフ周波数は4.98Hzとなりました。

1 / (2π * 1000uF * 32Ω) = 4.98Hz

入力のカットオフ周波数

サンプルの回路では 10μF のコンデンサを入れていますが、入力のカットオフ周波数は2.65Hzとなりました。 6kΩは、バイアス用抵抗 10k と 15k を並列にした合成抵抗値です。

1 / (2π * 10uF * 6kΩ) = 2.65Hz

バイアス回路に入っているコンデンサ

C5: バイアス回路をバイバスするコンデンサ。出力段のトランジスタのベースから見たインピーダンを等しくさせ高域の歪み率を改善するコンデンサ。3.3μF でも十分と思います。このコンデンサを付けなくても動きます。

負荷(ヘッドホン)の位相補償

サンプル回路図 C7, R16 が直列に接続された回路です。ヘッドホンやスピーカーは抵抗とコイルで構成された部品に置き換えられます。周波数が上るほどコイルのインダクタンスによって全体のインピーダンスは上ります。R16 にはヘッドホンやスピーカーなどのインピーダンスと同等の値を入れます。多くのヘッドホンであれば 32Ω のが多いので、30Ωとか33Ωなどの抵抗を入れます。コンデンサは、ヘッドホンのインダクタンスがまちまちな為一概に決まりませんが、一般的には 0.047μF 程度のものを入れてヘッドホンのインダクタンスをキャンセルします。

 

ブートストラップ回路

Q2 のトランジスタは終段のドライブのために電圧増幅を行います。そのコレクタ側の負荷になっているのが R6, R7, C4 で構成されたブートストラップ回路です。コンデンサ C4 が無い場合は R6 + R7 = 720Ω と低いため増幅率はそれほど得られません。また、この小さな抵抗値のコレクタ抵抗が終段への入力へ接続されますが、終段の駆動も十分に行なえないことになります。

C4 が接続されることによって、R6 R7 の間には終段のプッシュプル出力からコンデンサを通じて戻ってきた電圧がかかるようになります。そうするとR7 両端の電圧の波形はほぼ同じになるので、抵抗に流れる電流が小さくなります。言いかえると抵抗値が大きくなったように見えます(交流的に)。このことから Q2 の増幅率を上げることが出来ます。

 

電源電圧と出力電力の補足

ヘッドホンなどのインピーダンスは32Ω程度のものが多いと思いますが個人所有では64Ω 500mW などのものもありました。出力電圧(VO)は常にRMS値(実効値)が使用されるため出力電力は

 出力電力(Po) = [Vo(rms)]^2 / 負荷インピーダンス

 と表わされます。またVo(RMS) は次の式で決まります。

  Vo(rms) = Vo(pp) / 2*sqrt(2)

 この式を逆に使って、出力電力から必要な電圧を求めることが出来ます。32Ω負荷に0.3W出力する場合は次の式から Vo(RMS) を求めます。

Vo = sqrt(Po * Z) = sqrt(0.3W * 32Ω) = 3.1[Vrms]

 次に最大出力電圧のピーク・ツー・ピーク出力電圧 Vo(P-P)

3.1 * sqrt(2) * 2 = 8.77 Vpp

必要であると求められます。電源電圧から求めた場合の結果だけ示しますと

Vo(RMS) = 3.18

Po = 0.316W

 という感じで求めることが出来ます。

 

歪み率

以下のとおりです。

HA2-hizumi

基板の頒布はこちらにて行なっております

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